婆が70を過ぎた頃によく、存命の同級生を数えた方が早いと言っていた。その歳にもなると、誰でも生きていれば会いたくなるらしい。 嫌うことは若さであると思う。 死の間際にはカーテンコールと同時に手を繋げる人が多いといい。嫌いなものも好きなものもど…
数日家族の具合が悪く、気を送って治すのを数日繰り返した。どのように悪寒がたどるかを聞いて、頭の中に入るとそれがどういう道筋を辿るかわかってきた。前よりたしかにわかる感じで、何をどう感じるか自分事に感じる。 まず喉が締まっているのが気になり、…
心の澄んだ人が言っていた。 何年もかけて濁りを解いた水はやわらかい。
春に亡くなった先生へメールを送った。 先生が死んだということを思い出すとまだ悲しいので、思い出さないようにしていたが、自分の腹が決まってきたこともあったから送った。 彼女が死ぬ前の日の夜、耳元に何ともつかないヒロヒロとした楽しい電子音楽が聴…
死が近い人と、母子間の愛情が枯渇している人に感じることは似ている。 後者は目の奥に吹き荒れている砂漠がある。前者は鼻の周りくらいにそれがある感じ。 死ぬほど疲れている人は少し違っていて、大量に発汗したあとのような感じがする。それが事実の場合…
この音楽を本当に好きなのだろうかと考える。 繰り返し聴くことで、"慣れ"は"好き"と錯覚される。 1回目を聴いた場面とは違う場面で2回目を聴くと、この曲は聴いたことがあるという親しみを感じる。また違う場目で3回目を聴き、メディアなどで不意に流れた際…
何か違う層と繋がるような良い予感がして、ソワソワとしている。爪に矢印のマークが出た人差し指はなぜか激しい神経痛がしているが... ここで止まると良くない気がする、というより次がすぐそこに見える状態が続いているから、止まれないに近い。 一思いにや…
にしむらゆうじさんのイラスト、師匠の心にかなり刺さるようで、大爆笑する。 90歳にかかる人も楽しませる普遍性、凄い... かくいう私も大ファンです。 日本語の使い方が凄くて、よく新しいオノマトペのような言葉を生む。簡単なようで洗練されています。
友人が送ってくれた動画を見てみると、シャインマスカットとモモが乗ったケーキを夫にカットさせているシーン。 中にマスカットが入っていたら男の子、モモなら女の子だよと説明する友人。 私は固唾を呑みつつ、すぐに泣きそうだった。 頭の中に入ってみた時…
友人から「月がでかい」とのメッセージ。 まだ低く、陸橋がかかって見えなかったが、農道の方に歩いていくと見えた。 小間切れの雲のあいだにあって、より明るく感じた。 また1週間ほど外には出ていなかったが、外はもう稲刈りの後の甘い香り。 あまりにも切…
祖母の弟、おじさんが入院した先で癌が見つかった。 癌は喉頭にあり、放射線の治療のために喉が赤くなっていた。お見舞いに行った頃には声もあまり出なくなっていて、喋れなくなる治療にするかどうかまで決断をしなければならないステージだったよう。 口が…
自分が展示をした1階のホールに黒いピアノがあって、次第に鍵盤がカラカラと散らばっていくなか、CATSのmemoryを弾いていた。 美しい夢。
男とは女とはを人が語りだすと、甲子園のサイレンが鳴る。
youtubeの感想欄の傾向は、ナチズムのはしりの会合のようだった。100万の動画再生のなかで、よりすぐりのサディストだけが感想を残していると考えるべきだろう。 重度障害者に対する死生観ばかりの感想のみであり、それも自分の立場や人格を弁護しながらの卑…
友人の眉間に手を当ててみたら、お腹の中は黄緑色の丸があった。女の子という感じがした。 これから命を表す色には黄緑を使おうと決めた。
友人が帰郷し、なんとしても会いたそうな雰囲気だったので、少しだけ顔を出すことになった。 毎回のお土産を買って来てもらって、箱がいくつか入っていた。上手に出来たものがあるから見てくれと言われて小さな箱を開けたら、予定日と胎内の写真が入っていた…
欲しいものがまだわかっていない者ほど、より多くを求める。より多くを取り込んで、取り込んだものは中で台風のように巻いて壊されて、あとは屁のように追いやられている。
色々な形になって熱暴走する女の子がいて、同じ建物のなかに建築の教授が立っていた。 君たち課題は終わったの? まだ終わってませんと言ったら、君たちが終わらないとね、自殺ができないんだよとややヒステリックになった。(ヒステリーにはあまり性差がない…
何十万も払って買った猫、中古車を撫でているような気持ちにならないだろうかと思う。 (うちの猫は新品の外車でも釣り合わないが) 少なくとも緊張感はある、人の猫だと特に...。 猫そのものはなんでもない、代金のぶん特別丈夫なわけでも健康なわけでもなく…
自閉的な傾向が強く、長期的な記憶が優位になりがち。うつ感情が併発しやすいのはこのためなのだろう。 だんだん自分をわかってきたが、緊張が全ての鍵を握っている。 内耳が緊張を捉えた状態では、短期的な記憶を引き出すのはむずかしい。 多分人よりもその…
白、海坊主、空のあと、そこで記憶がなくなった。
久々に人に殺される時の臨場感があって、とにかく静かにしていた。家の中はたいてい殺意に満ち満ちていて、私が寝ている下で、命のやりとりが行われていたことがよくあった。 師のところへ行って、呼吸と書き出しで嫌な記憶は出ていっても、支配されていた感…
友人の多くは、毎日色んなところに行く人に嫉妬をするらしい。私は旅行や外出に興味が傾かないので、皆が出向く写真を見るのが楽しみ。 (御朱印帳のようなものかな、と思っている) しかし人生の進捗の報告を、良いことばかりにしなくてもいいんじゃないかな…
ここまで生きられたのだから、どんどん行こうというわけにもいかん。 例の如く足踏みをしたりもまた良いだろうと、啄木のように生きられればなぁと思う。 一度は死んだ身だけれど、あの決死のような気持ちとは違った希望的な死へのあこがれは、死ぬまで持ち…
隣町、小学校へ通う通りの家の人が餓死したそうだ。 父親が宝くじを当てたことで仕事をしなくなり、いいかげんな生活になったことで母親が家を出た。 父親、祖母、息子が残され、祖母が他界。 父親も病気で亡くなり、若くして引きこもりの状態になっていた息…
話を聞かせれば、それがスイッチかのように、すぐ想像の世界に入る。 その先は言葉を聴いているのではなく、映像をともなって陶酔している。 大人はいつもそれを理解して、言葉を話さなければならない。決して自分の言葉としてではなく、その映像が続くため…
蜜柑を描くという公募があった時、お師匠の話を聞いた。 昭和初期、兄弟姉妹は下に何人もいた。 小学生を卒業したと同時に父さんがやってきて、「おめぇ酒代稼いでこい」と言ったそうだ。 「兄さんが馬を引いてきて、米俵をくっつけているから何でだろうと思…
在学中、当時客員教授だった会田さんが、 私の友達を学外に連れ出したのち強制的にわいせつなことをしたということだった。 女性の教授から、飲み会に参加すると触られたり侮辱的な言葉をかけられるのが毎度のことであるとは聞かされていた。 何が起こったの…
これはやはり男性に限った美術史だと、これもまたインチキであると感じた。 女性の創作物に優れたものがなかったという議論は済んでいるようで、そもそもそんな市場はなかったのだとのことだった。 社会自体が男性原理の産物なので、これまではそうだったと…