彼が岩井先生の友人であったことを知らなかった。私は不良で、当時先生に買われない喧嘩を売っていたのであまり関わりがなかった。しかし見守ってもらっていたのを感じていた。
(ご友人のことなど別に、私どもに言う義理などない)
岩井先生はロマンチシズムがあって、受容を感じる人だったが、村上さんはなんだかセンチメンタルな感じがする人だった。
失礼ながら私は作品より村上さんの寂しげな様相や、調子が良い時の言葉が好きでいたが、初めて実眼でお見かけした際の彼は危険に包まれたように殺気立っているようだった。
その理由はわからなかったけれど、脳が真っ黒になっていて、迷走神経が危険を感じる状態に振り続けているように感じた。服薬だろうか。
とにかくかなり健康の状態が悪いようだった。
周りの話を聞いてみると、これまでの展示会の参加者に不躾な人がいたとのこと。
正直なところ私の時もそうだった。感謝のない人、嫉妬と野心でいっぱいの人、欲の多い人、下衆な人。聞けばほとんどが20歳あまりの生まれたてのような人達。
帰りの電車では耳を覆いたくなるような井戸端会議が開かれていた。
若さはそれだけで暴力的なので、仕方がないところもあると思う。でも中心に何を置くかで、そこに集まる人の性質は変わる。
少し心残りあり、
次の展示会に参加したい気持ちあり。
ps.
あの人の何がいいかというと、そのときそのとき正直であることだと思った。石を投げられていたりもするけど、心を見ても嘘がない。
とても苦労をした人。